寂しがり屋には愛情を。

そのあと武藤は何も言わずに教室から出ていった。


あいつが抱える悩みは何なんだろう。



あんな悲しい、冷たい目はしてほしくない。



「…の、のぞみセンセ?
もう落ち着いた?大丈夫?」


ひぐち君が覗き込んできて、さっきの失態が蘇る。



生徒相手に、暴言…。


2人がいなかったら、手も出てかもしれない。



「えぇっと、…忘れて、ください。」



あれは生徒に見せて良い顔ではなかった。


「なんで?のぞみセンセ、オレのために怒ってくれたんだろ?」


「そーだよ。それに、センセーの暴言は今に始まったことじゃないじゃん?」


「それは言えてるな。」



…そんなことないし。


「しっかし、怖かったね!
のぞみセンセーのキレ方!」


「…だから、忘れてってば。」


「ちょっと衝撃的すぎて忘れられない。」


「……もういいや。
あ、2人ともありがとね。」


「「なにが?」」


「2人が居なかったらあたし、あいつのこと殴ってたかも知んないからさ。」


……アハハハハ。



その後、教室には2人の苦笑いが響き渡りました。




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