寂しがり屋には愛情を。

手が届かない所まで顔を背けると、離れた手がそっともとの位置に戻っていった。



「…すいません、変なこと言って、変なことして。先生のこと、からかいたくなっただけですよ。」



急に明るくなった声に顔をあげると、泣きそうな顔をした会長くんがそこにいた。



あぁ、この子もだ。



偽りを被らされた子どもは、何も見ようとしない、何も信じられない。


誰かが手を引いてあげないと、潰されちゃう。




立ち上がり、テーブルを挟んだ向こう側、

会長くんが座るソファーに近づく。



少し身構えた会長くんの隣に座り、静かに手に触れた。



ピクッ


驚いたのか少し震えたのがわかった。



「な、」


「あたしは、会長くんのことすごいと思ってる。頭も良いし、爽やかだし、優しいし、人気者だし。」



ハイスペックなみんなの王子様だものね。



「でもさ、それってすごい大変なことだよね。

みんなの前で王子様して、教師の前で優等生して、それが当たり前だと思われるのは辛いと思う。」



この子がいくらハイスペックな優等生だとしても、

みんなと同じ17歳の高校3年生なんだ。



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