寂しがり屋には愛情を。
ほんの少し触れた指先から、あたしの体温が伝わるといいな。
「君は人形じゃないんだから、みんなが望む姿をつくろうとしなくてもいいんだよ。」
顔をあげられない。
指先が震えているのが見えたから。
「それに、あたしはハイスペックな会長くんも素敵だけど、自然に笑う優しい顔の会長くんの方がもっと素敵だと思うよ?」
キュッと手を握られ、驚いて顔をあげようとするともう片方の手で阻まれてしまった。
「今は、見ないでください。オレ、だっさいんで。」
指の隙間から一瞬見えた会長くんの顔は真っ赤ッかで、あたしの手を握る体温も目を覆う体温も温かい。
「ん。わかった。見ない。」
また握られた手に視線を落とす。
あったかい。