初めての恋の甘い誘惑~レンタル彼氏は学園王子~
「柊、ナイッシュー」
玉を蹴った柊に声を掛ける。
「当然」
彼はニヤリと笑うと早くも校舎に向かって歩き出した。
『結城くーん!』
『格好いー!』
グランドの脇は女子で溢れてる。
…相変わらずすげぇ人気だな。
俺はそちらをちら、と見て思いながら、スタスタと歩き去る柊を小走りで追いかけた。
「柊!待って、俺も行く。
しっかし、すんげぇ歓声だな。
学園中の女子がいるんじゃねぇ?
練習試合でこれは、あり得ないよな」
柊に向かって気が狂った様に叫んだり、手を振ったりしている女の子達に隣にいる俺の姿は見えているんだろうか。
……まあ、いいけど。
「……うぜぇ」
柊はポツリと一言。
王子の素顔を知ったら、彼女達はさぞ驚くだろうな。
「結城~!夏目~!
待てよ、待ってくれ!!」
後ろから俺達を呼びながら駆けてくる声に二人で振り返る。