初めての恋の甘い誘惑~レンタル彼氏は学園王子~
「お前には参るよ」
小声で千尋にそう言ってから満面の笑顔を作る。
「おはようございます」
「おはよう」
自分でも寒気がする程の笑顔で顔を上げると、そこにあったのは杏奈の顔だった。
「うわ」
彼女が小声で悪態をつくのを聞き逃さなかった。
……あ…。
彼女は軽く俺を見てからパタパタと走り去る。
…くそ。何てタイミングで…。
……。
「…千尋。お前、杏奈を見てから忠告しただろ」
「さあ?何の事?
あ、おはようございます」
…くそ。こいつめ。
あいつには作り笑いなんて見られたくなかったのに。
また、レンタルサービスとか言われてしまうだろ。