初めての恋の甘い誘惑~レンタル彼氏は学園王子~
そっと、うっすらと目を開けてみる。
うひゃ…っ!
柊の大きな二つの瞳が私の目の前でゆらゆらと揺れている。
や…やだ、駄目…、目を…
離さないと…、私……。
だけど…、もう……。
「…杏奈……、早く……」
柊が話す度に唇にゾクゾクと彼の息がかかる。
い…いや……。
――――だけど……。
呑まれそうになってくる…。
「…柊……、いいよ、
……あなたがそうしたいのなら……」
彼の首にそっと腕を回す。
目がとろりと重くなってくる…。
私……何をしているの…?
さっきまであんなに怒って…、彼を拒んでいたのに。
そう、分かってるの。
私が何を言っても、どんなにあがいても、
彼からは…逃げられないって。
私はそんなに強くはない。
意地を張ってみせても、所詮、彼を追いかけ回すファンの子達と変わらないわ。
私に特別な力があるわけじゃない。
柊の様な男の子に、こんな風に見つめられたら…、たちどころに、
まるごと―――囚われてしまうわ。