初めての恋の甘い誘惑~レンタル彼氏は学園王子~
そっと…唇が離れて彼が私を見下ろす。
微かに濡れた唇が艶やかに光ってなまめかしい。
呼吸を整えながらうっとりと彼を見上げる。
ずるいわ。
そんな風にされたら、あなたを好きになってしまう。
一ヶ月しか、
……私の側にいないくせに。
泣き出しそうになるのをグッと堪えて唇を固く結んだ。
すると彼のひんやりとした指が私の鼻をキュッと摘まんだ。
「ブス」
彼は一言そう言うとククッと悪戯っぽく笑った。
「ぶっ…、ブスじゃないもん。
可愛いもん」
プウッと知らずに頬が膨らんだ私を蕩けるような笑顔で見つめる彼に……
……私は呆気なく、恋に落ちてしまっている事に
………今、気付いた。