サクラドロップス

「普通に考えてユキさんと他のオトコの子供がボクに似てるって、あんま聞かなくない?」

「聞かないっていうか・・・アリエナイと思うケド」

・・・普通に考えた限り。

「ってコトは普通に考えて普通に似る結果しかナイじゃん?あ、油は多すぎず少なすぎず、焦げ付かないように気をつけてネ。火の加減はこれ位で。よーく見てるように」

「普通に考えて普通に似るって・・・アタシが生んだ子がツバサくんに似るってコトは、その相手がツバサくんっていうコト・・・?」

「ユキさん、遅すぎ。ツッコミ泣かせな人だなぁ。で、これ位ずつ、卵液流してサ・・・ちょっと、ユキさん?見てる??」

「・・・見てない。見らんない。だって・・・何だってそんなコト言うのぉ・・・」

アタシ、子供なんて興味ないの。

結婚だって、今までしたいと思ったコト、一度もないのよ?

でも、何故か・・・

何故か、ツバサくんの何気ない言葉に、アタシは、嬉しくて泣いた。

「何でって、ボクもフツーに、オトコなんだけどね、実は・・・ってか焦げる!ユキさん腕離してくんないとフライパンで火の調整出来ないから焦げるし!抱きついてくれんのは大歓迎なんだけど、一回離して?離そう?離してクダサイってば!!」


玉子焼き一つに、真剣になるツバサくんがおかしくて、アタシはついつい意地悪がしたくなり、その日の玉子焼きは


ほんの少しだけ・・・固くなった。



アタシを想うツバサくんの

優しいウソが、切ない------






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