サクラドロップス

-6-


そして、目が醒めると・・・


ほのかな、やわらかい香りを残して、ツバサくんの姿は消えていた。

アタシのパジャマに乱れはなく

『一回でイイから、キス、して?』

・・・と、言うアタシのワガママも

『・・・ゴメン』

と、言って叶えてはもらえなかった。


・・・けれど

くちづけより甘く、苦しい位の抱擁で・・・

それが、ツバサくんのアタシへの想いの深さだと知った。


「みゃう・・・」

コタツから出てきたサクラはツバサくんの香りを探すようにベッドに飛び乗ると

いつもアタシが留守の時にしているようにツバサくんが寝ていた布団の中へともぐって行った。


サクラも、もう彼と逢えないコトを、知っていた・・・


アタシはそれが悲しくて悲しくて

あの日の夢の続きのように、シクシクと泣いた。


でも今日、あの玄関を回して、買い物袋を提げて帰ってくる人はいないのだ。

ツバサくんは桜の花びらにさらわれて

どこか、アタシの手の届かないトコロへ消えてしまった。


アタシは今日から、どうやって生きていけばイイのだろうか。


それでも涙を拭いながら

ツバサくんのパキラに日光浴をさせる為に降りたリビングで


アタシは、昨日の夜まではなかったモノを、発見した。

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