サクラドロップス

・・・アタシは、イツキのことがすきだった。


春のように優しくて、穏やかで

けれど、しなやかな強さを持つ

イツキのことが・・・すきだったの。


綺麗な顔も、まだ成長途中の華奢で繊細な体躯も

低すぎない、アタシの耳に心地良い音域の透明な声も

アタシにしか見せない、悪戯な笑顔も


すきで、すきでたまらなかった。


誰よりも近くで

誰よりも敏感に

アタシの心に、イツキは寄り添う。


アタシは、イツキの全てに焦がれていて

イツキだけを、見ていたかった。


イツキさえいればイイの。

イツキだけいればイイの。


他のヒトなんてイラナイ。

イツキでなきゃ、意味がない。



アタシの世界は、イツキがいることではじめて完成されるのだから。





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