サクラドロップス
言おうとした
・・・の、に・・・
何故か瞳から、ハラハラと涙が、溢れてきて・・・
「卵4個 に対して出汁40ccに、みりん15cc 、薄口正油10cc。卵はちゃんとしたのを使うこと・・・甘いのがすきなら、みりんを砂糖にかえてもイイ」
と、唇からは、言葉が洩れる。
「ユキ姉?やだ、どうしたの?」
「・・・ユキ?」
急に箸を落として泣きだしたアタシを見て、アユミと母が慌てて箸を下ろす。
当然だ。ぶすっとつまらない顔でテレビを見ていたアタシが、急に泣き出したのだから。
「・・・材料は混ぜすぎないで・・・サックリと。これが、重要・・・あ・・・ああ・・・アタシ・・・」
後から後から涙が零れて、上手く言葉が出てこない。
アタシ・・・アタシは・・・
「お母さん、お母さん・・・お母さん・・・!」
「ユキ?どうしたの、ユキ?大丈夫、大丈夫だから、ね?お母さん、ここにいるから。どうしたの、どうしたのユキ?何が悲しい?」
普段は冷たい会話しか出来ないのに、アタシは母のぬくもりを求め、母は、アタシをやさしく抱いた。
アタシは子供のように、しゃくり上げながら・・・