サクラドロップス

「みゅう?」

知らずに涙が流れていたアタシの頬を、サクラがペロリと舐めた。

「うん・・・ダメ。やっぱり寂しい」


昨日まで、イツキのいた部屋。

イツキと一緒に笑って、一緒にキッチンに立って、一緒に眠った、小さなアタシの部屋。


なのに、イツキがいないだけで空間はガラリと空き

のん気な筈のコタツでさえ、どこか悲しげに見える。


ねぇ

ねぇ、イツキ?


アタシ、きっとまた、アナタを想って、たくさん泣くわ。

だってアナタは私の中にこんなにもリアルにいて、想い出になんかならないんだもの。


でもね、いいの。泣いても。

だってイツキも、アタシを泣かせてくれたでしょう?


想い出した、アタシの勝ちなんだからネ?

アナタを想って、すきなだけ泣くわ。


最後にアナタが叶えてくれた10日間を


引きずるのではなく、大切に大切に抱きしめて

少しずつでも、前に進みながら------




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