サクラドロップス
会社について、例によって例の如く給湯室の壁に寄りかかってお茶を飲んでいると···
「おはようございまぁす。ユキ姉、聞いて下さぁい」
と、エリカちゃんがやって来た。
「おはよ。今日ははやいのネ、エリカちゃん。どうしたの?あ、でも、前も言ったと思うけど恋愛の相談にはのれないわよ」
と、お茶を飲みながらアタシ。
「···って、ユキ姉こそ···」
『ドウシタンデスカ?ソノ カオ ハ?』
と、言う言葉を、何とか飲み込んだらしいエリカちゃん。
ぱちくり、ぱちくりと、エリカちゃんのバサバサのつけ睫毛が上下する。
「あ、うん。あんま上手に、隠れてないわよネ」
泣き明かして浮腫んだアタシの顔は、化粧で誤魔化すには無理があり、伊達メガネとマスクで隠れている。
マスクは勿論、お茶を飲んでいる今は外しているけれど。
「···安藤さんが午後出社で、良かったデス。きっと心配して仕事になんない」
アタシを心配そうな目で見つめる、エリカちゃん。
「安藤はどうでもイイよ」
と、アタシ。
「それより今日は午後に取引先のお偉方が来るからさ。それまでにもう少し、マシな顔作んないと」