サクラドロップス

そして

何とか誤魔化しが『キク』まで戻った顔にメイクをすませ

仕事に入ると、いつもの3割増しでエリカちゃんがまとわりついて来た。


やれメールが送れなくなりましただの、ファイルが見つかりませんだの、部長のコーヒーに間違って塩いれちゃいましただの(これは天然かしらネ?)

やたらと質問に来ては、アメだのチョコレートだのをアタシの机に置いて帰っていく。


そんなオンナノコらしい慰め方に、アタシは少しだけ頬が緩む。


『何があったんデスカ?』と、聞くようなことはせず

自分の出来ることを、少しずつ。


おしつけがましくないエリカちゃんの思いやりに感謝しつつ

アタシは普段なら仕事中に手を出すことのないチョコレートを、ぱくりと口に放った。


やさしい甘さが、ふわりと溶ける・・・






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