サクラドロップス

そんなことを考えながら仕事していたのがいけなかったのか

その日の夜は残業になってしまった。


壁の時計を見ると、8時を少し回ったところ。

まだすごく遅い訳ではないけれど

一昨日イツキと別れたばかりで

もしかしたらサクラは寂しくて鳴いているかもしれない。

それとも、イツキのやわらかい香りの残るベッドに潜って、安心して眠っているだろうか?

眠っているなら良いのだけれど、イツキを恋しがってみゃあみゃあ鳴いていたらかわいそうだ。


思わず零れそうになった涙を、ふうと溜息をついて何とか瞳の中に閉じ込める。


仕事とプライベートは、分けなくちゃ。

この前もそれで、失敗したばかりだもの。


『無理、しないでよ?』


イツキなら、そう言うかしらネ?

うん、大丈夫。

サクラが心配なだけで、無理はしてないの。

これは、アタシが頑張りたいから、頑張っているだけ。

ねぇ、イツキなら・・・解ってくれるでしょう?



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