サクラドロップス

「よし、もう少し頑張っちゃおう」

アタシはアップにしていた髪を下ろすと(ほんとは会社ではまとめ髪って自分で勝手に決めてるんだけど)首と肩をクルクルと回してからパソコンの画面に視線を戻した。

と、そのタイミングで・・・

「ユキさん、お疲れ様です。今日は残業デーですか?」

と、言う、安藤の声。

外回りの時間がずれ込んだらしく、事務所に入るとすぐに、カチャコンとタイムカードを押している。

「安藤こそお疲れ様。悪い。もうちょっとだから、これ打たせて?お茶いれてあげらんない」

と、画面から目を離さずに、アタシ。


すると安藤はクスっと笑って。

「イイですよ、そんなこと気にしなくて。仕事、オレが手伝うほどは残ってないみたいです?じゃあ、たまにはオレがお茶いれますよ。緑茶でイイですか?」

と、言って、給湯室へと消えた。

「あんどーお?わざわざ、イイよ?」

と、アタシ。喉は渇いていたけれど、会社で男性にお茶をいれてもらうというのは・・・何だかネ。


なんて、イツキに何でもしてもらってたアタシが言うのも変かしらね。



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