サクラドロップス
「アタシもかなりひどいことアンタに言ったし、謝んないで?ね?もうやめよ」
そして出来れば、記憶から抹消してほしい。
何だか無性に喉が渇いて、ゴクリとお茶を飲むアタシ。
と・・・
「何コレ、おいしい」
アタシがいつも使うのと同じ、ティーバッグでいれた筈の、緑茶。
なのに、すごくおいしいのは何故かしら。
まろやかに、やさしい、甘さと香り。
「安藤、このお茶・・・あ、ねぇ、もう座ってよ、話しにくい」
細いけど180センチオーバーの安藤に立っていられると、椅子に座っているアタシには、少しだけ威圧感。
・・・安藤のクセに。
「あ、はい。ゴメンナサイ」
アタシの顔を見て、またしても謝る安藤。
アタシってそんなに怖いオンナかしら。やさしいオンナだとは、自分でも思ってはいないけれど。
「お茶、ですか?ティーバッグから出して、急須でいれただけです。湯のみと急須をお湯であっためたりはしてますケド、他はソレだけしか、違いません。ばーちゃんに教えてもらったんですケドね?紙臭さが消えるらしーです」
椅子に座りながら、アタシの質問に気付いたらしい安藤。
「へぇ、全然違うのネ。今度からアタシも真似しよう。安藤はおばーちゃん子なのネ。よく、話題にあがる」
コクリ、と、お茶を飲みながらアタシ。
すると安藤はニコッと、それこそ実家の柴わんこ、アンコのような顔をして笑うと。
「はい!物知りで裁縫が上手くって。オレの自慢のばーちゃんです」
と、言って、自分もゴクリとお茶を飲んだ。