サクラドロップス
「と、言う訳で、これからも勝手にすきでいるのだけは許してください。で・・・ユキさん」
「・・・はい」
まっすぐな瞳で見つめられて、アタシは思わず素直に返事をしてしまう。
すると安藤は、クスッと笑うと。
「ここから先は、説教です」
と、言った。
「あ、データー入力、しながらでイイですよ?サクラちゃん、待ってるし。オレ、勝手に話してますから」
それじゃあ、お説教にならないんじゃないかしら。
そんな風に思いつつも、アタシは安藤の言うようにキーボードを打ち始める。
すると安藤は・・・
「あ、迷うことなくキーボード打ちましたネ?いーです、ユキさんらしーです。でも、あまり無理はしないで下さい。また、抱きしめたくなりますから」
と、言って、自分とアタシの湯飲みを持って、給湯室に消えた。
「・・・・・・」
アタシは言葉が出てこない。
だって安藤・・・どこまで、本気なのよ?
「もっとも、オレに抱きしめられたい場合は、どんどん無理しちゃってもらってオッケーです。ムシロ、無理して下さい。離しませんから」
給湯室から、安藤の声。
湯飲みを洗っているらしく、シンクに飛び散る水の音に消されないように、気持ち大きな声で。