サクラドロップス
教会式が終わってブーケトスの為に外に出ると
ふわりと、やさしい風が吹いて
舞い散る、サクラの、花びら···花びら···
その風はやわらかく、アタシを抱きしめるかのように包む。
アタシは安藤には内緒で、心の中で、こっそりイツキに話しかける。
ねぇ、イツキ?
アタシね、今日、安藤と結婚するの。
うん、イツキが言っていたように『イイやつ』
イツキみたいに何もかもがぴったりと寄り添える感じではないのだけれど
でも、それでも
安藤となら、一緒に未来を探してみてもイイかなって
そう、思えた。
大丈夫よ、ちゃんと、すき。
イツキに焦がれていたような
切なくて泣けてしまうようなものとは、種類が違うみたいだけど
じんわりと、安心するような、すき。
あ、でもこれって
アタシが『ツバサくん』に感じていた感情で
と、いうことは安藤は···
実はイツキと似ているのかしら、ネ?
なんてゴメン···そんな筈ないか。
「ユーキ姉!ブーケ、頼みますよぉ」
今やバツ2となったエリカちゃんの声に急かされて、アタシは後ろを向いてブーケを放る。
------と、狙った訳ではないのだけれど
ブーケは一直線に、アユミのもとへと飛んでしまった。
「ミユキさん、狙い過ぎです」
「狙ってないってば」
隣にいる安藤に肩を抱かれて、アタシは軽く頬をふくらませる。