サクラドロップス
ヒールを履くと、アタシの身長は175センチを越える。
まだ伸びるのか止まったのか解らないツバサくんは170あるかないかなので、必然的にアタシが見下ろす事になる。
・・・ちょっと、やなオンナかしらネ・・・
アタシが態度には出さずにこっそり心の中でビクビクしていると・・・
「えーと、ね、ユキさん?ボク、置いてもらう立場だから、正直、お金出してもらうのは困る」
と、言って、ツバサくんはお札を一度受け取ってから
コチラに向きを直して、丁寧に返してくれた。
アタシはその言葉を聞いて。
「・・・でも。ツバサくんのお小遣いじゃないよ?2人の、食費」
と、言って、もう一度お札を渡そうとした。
けれどツバサくんは。
「ユキさん。ボクね、ユキさんが何も言わずに、此処に置いてくれるコト、感謝してる。だからボクは買い物をして、ユキさんの喜ぶ食事を作る。良くない?それで」
と、言って、ニッコリと笑った。