サクラドロップス

と、言ってツバサくんは、今日出す予定の燃えるゴミの袋の中に入った『写真』に視線を向けた。

アタシは、今度こそニッコリと、上手に笑って見せると。

「いいの」

と、言って、そのゴミ袋を持ち上げた。今日は枯れ木を含む、可燃ゴミの日。

「いいのって・・・でも、これは」

少しだけ、コチラを探るような顔をするツバサくん。

けれどアタシは。

「いいの。アタシもツバサくんの詮索しないから、ツバサくんもアタシの詮索禁止!じゃね?イッテキマス」

と、言って、玄関のドアを閉めた。

「・・・・・・」

そして、閉めた扉を見つめて、小さな溜息。

・・・性格悪いな、アタシ。

解ってる。

解ってるけど、時々。

ものすごく、他人の親切が鬱陶しい。



差し伸べられた手を払えば、ほんの少しの罪悪感が胸を疼く

でも、その痛みにはもう慣れた。



慣れた、つもりだった。


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