サクラドロップス
会社について毎朝の習慣のアメリカンを飲んでいると
「ユキ姉ぇ、聞いて下さぁい!!」
めずらしく、安藤より早く、エリカちゃんに声をかけられた。
「どうしたのエリカちゃん。今日は早いのね?」
ちょこっと厭味。
けれど、素直で可愛いエリカちゃんには、通じないコトもお見通し。
「だってエリぃ、ユキ姉に相談したいコトがあって早起きしたんですぅ。って言うか、眠れなくってぇ・・・」
と、言って、いつものように壁に寄りかかっているアタシの腕をとり、両腕を絡めてくるエリカちゃん。
アタシ、あまりベタベタするのは男女問わず苦手なんだけど、エリカちゃんはどこか触っていないと安心しない様子。
うーん。アタシが思うのと同じように、こういうのを世の男性諸君も『可愛い』というのなら、アタシは間違いなく『可愛くない』オンナだわ。
眠れなかった割に、髪の先から爪の先まで、全身にオンナノコを纏うエリカちゃんを見て、アタシはマジメに彼女を尊敬してしまう。
『女子力』とでも言うのかしら。
この『女子』としての『隙のなさ』と『女子』故の『隙の作り方』は、見習わないとイケナイのかもしれない。