神様に見捨てられた世界で生きる僕ら
「千夜様!!」
「後任は・・・そうだな、乙にするか」
「私の話をお聞き下さい!!」
「もう此処には戻ってこないつもりでいる。俺の私物は処分してくれて構わない」
「解りました!・・・・・・一週間。一週間だけです」
それを聞いた俺の足はピタリ、両足を揃え停止した。
後ろを振り返れば、興奮からか目元を紅くした丁が肩を上下させ佇んでいた。
「一週間、それ以上は無理です。
仕事は、私の方から乙様に申し上げておきます」
「世話を掛けるな、丁」
「そう思うのでしたら・・・早くお戻り下さい」
「そりゃ、無理な相談だな。・・・じゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃいませ、千夜様」
最後には頭を垂れて見送る丁に、俺は背中越しに手を振って執務室を後にした。
向かう先は、毎日をつまらなそうに過ごしている黒色の瞳の少女の元。
あの頃から笑わなくなってしまった少女の笑顔を、取り戻すために。