神様に見捨てられた世界で生きる僕ら
「おーあったあった」
ちなみの言った通り、扉を開けて見れば、真新しく封の切れてない歯ブラシが数本買い置きされていた。
俺はその中から、ちなみの使っている色と被らないように選んだ。
「彼奴の瞳と同じ色だ」
選んだのは黒い歯ブラシ。
ちなみのは白だから、見間違う問題はないだろう。
「これ位の事で、喜ぶなんて俺も若いなぁ・・・」
喉奥でクツクツ笑いながら、歯磨きを始めた。
「すっげ、穏やかな寝顔だなこりゃ」
会ったばかりの男と、寝るのにこんな無防備で良いわけ?
完全に熟睡してるちなみの頬を突けば、微かな唸り声と潜む眉。
それでも俺が寝るのを想定してか、壁際に寄ってくれてるのが嬉しい。
自然と頬が緩んでしまうが、直ぐに眉が寄ってしまう。