神様に見捨てられた世界で生きる僕ら
繋いだ手、安心する腕の中...一日目
どうして会って間もない人に心を許しているのか
自分でも不思議で仕方ない
だけど
何処か安心できる存在なのだ
*ちなみ視点*
休日だというのに、習慣なのか学校に行く時間に目が覚めてしまう。
もう一度寝直そうと、寝返りを打とうとするが、何かが手を握っていて出来ない。
オマケに体も重いし、あたし一人分の体温じゃない気がする。
そろそろと、視線を上に持って行く。
「っ!!」
出そうになった悲鳴を、何とか耐えたあたしを誉めて貰いたい。
一瞬、見知らぬ男が一緒に寝ている思って悲鳴を上げるところだった。
が、完全に覚醒した頭で考え、冴えた目で見てみれば。
「(千夜か・・・何時の間に入ってきたんだろ)」
コンビニ帰りにあった、不思議な青年だった。
街灯の下でポツリ、怪我でもして蹲ってたのか知らないけど。
行きなり"飼え"って、幾ら帰る場所がないからって吃驚するでしょうが。
少なくともあたしは行きなりのことで吃驚したし、手を引く千夜に抵抗らしい抵抗も出来なかったけど。
名前を言うために振り返って見えた笑顔と、
あたしの名前を尋ねるときの空色の瞳に惹かれた。
だから、手を引かれるままに、千夜に道案内をしたんだ。
「(にしても、綺麗な顔・・・。
昨日はそんな気にしなかったけど、肌だってすっごい白いし、睫毛も長い。
あ、髪は藍色なんだ。・・・・・・人間離れしてるなぁ・・・)」
千夜が寝ていることを良いことに、数センチ上にある顔をまじまじと観察してみる。
すると、昨日気付かなかった千夜の特徴に気付いた。
「ふぁ・・・」
自然に溢れてしまう欠伸がかみ殺せなく、小さく声が漏れる。
冴えたはずの目も、自分の意志とは関係なくとろんと、霞んでしまう。
今度こそ、寝直そうと繋いでいる千夜の手を握り替えし、千夜の胸に顔を埋める。
微睡む意識の中で、
手を、握り替えされたのは
気のせいでしょうか?