神様に見捨てられた世界で生きる僕ら
「場所、何処だよ」
「ん?何の?」
「バイト先の住所。遅くなんだろ?迎えに行ってやるよ」
「大丈夫だよ、千夜」
「良いんだよ、仮にもお前は女だろ?」
「で!でも、今までそんなの無かったし!」
「それとも、俺に見られて不味い店なのか・・・?」
「わ、解ったわよ・・・。
じゃ、後で地図書くから。・・・11時半くらいに迎えに来て」
「りょーかい」
その一言に観念したのか、渋々といった感じにちなみが折れた。
俺はと言えば、満足そうにトーストに齧り付く。
「千夜は何処かに出掛けたりしないの?
幾ら帰るところがないからって、出掛けたい場所はあるでしょう?」
「んー・・・今日は特にねぇかな?」
「そう?なら、お留守番よろしくね」
「へーい」
一足早く食べ終わったちなみは食器を片付け、洗面台へと向かったようだ。
「俺が居る間は、バイト昼間にするように言うか・・・」
独り呟いて、サラダのトマトを口に運ぶ。
迎えに行ったときに、提案しようと考えながら。