神様に見捨てられた世界で生きる僕ら
巡る思惑、甦る幼き日々...圭視点
何でだよ、
彼奴の一番傍にいたのは俺の筈なのに
彼奴の笑った顔を、
隣で見る特権は、俺のモノだったのに
何でだよ
*圭視点*
「何だよ、彼奴・・・」
あの後直ぐに、差し入れをちなみに押しつけるようにして帰ってきた。
きっとちなみは、明らかにヘンな行動に疑問を浮かべているだろう。
でも今の俺には、
そんなのを気にする余裕なんてなかった。
「遠縁・・・か」
もう寝ると、両親に伝えて階段を上がり自室のドアノブへと手を掛けた。
開いて、カーテンで仕切った部屋は電気を付けていない所為で夜空よりも濃い闇を作っていた。
ベッドに倒れ込んで、先程初めて会った人間のことを思い浮かべた。
「何で、あんな仲良いんだよっ」
昨日、初めて知らされたと言う遠縁の其奴。
当たり前のように、ちなみの隣にいた其奴は、
俺の特等席を掻っ攫っていた。
血の繋がりがあると言うだけなのに。
其奴はちなみの隣にいることを許されている。
無条件で、ちなみの笑顔を見ていられる。
誰よりも、ちなみを大切にし。
誰よりも、ちなみに大切にされる。
「っくそ・・・」