神様に見捨てられた世界で生きる僕ら
何時の間には寝入ってしまっていた俺が次に起きたのは。
朝と呼ぶにはまだ早い時刻だった。
日が完全に上がっていなく、段々と空が白んでいくのが見える時刻だった。
「・・・懐かしい、夢だ」
あの頃のちなみは笑顔が絶えない、明るい子だった。
その傍に居る俺も笑顔が絶えないで、何処へ行くにも、何をするでも常に二人だった。
あの、事件が起こるまでは。
ちなみの父親が籍を置く会社は、海外に本社があるらしく、親父さんも結構重要なポストに身を置いていたらしい。
そしてそんな位置に居る訳だから、家を空けることも少なくなかった。
お袋さんもちなみが小学校を卒業すると同時に、親父さんの仕事について回り、生活面のサポートをしていたらしい。
そして、親父さんが日本の支社の重要ポストを任されるかどうかの瀬戸際だった、あの時。
俺たちが、中学3年になった矢先の出来事。
日本と、海外を往復していた親父さん達の乗っている飛行機が事故にあった。
原因は整備の問題だったらしく、操縦士は愚か、全ての乗客等が亡くなった大事故。
骨は愚か遺体が見つからなく、空の柩を並べた葬式が行われたのを今でも鮮明に覚えている。