神様に見捨てられた世界で生きる僕ら
「やっぱりな・・・」
風呂から上がりリビングへ行けば、予想していた通りの光景だった。
未だに食事を終えていないちなみが居た。
しかも、唯一変わったことと言えば、膝の上には握り飯が出来るくらいの飯が乗っているってこと。
「ちーなーみっ」
「っっ!!?」
「風呂、空いたぜ。
・・・つかその前に、膝の上の其れ、何とかしてからだけどね」
「ぁ・・・・・・うん」
「・・・はぁ」
「ねぇ、千夜」
「んぅ?」
風呂に入る前に座っていた席にまた腰を下ろし、タオルで髪を拭きながら返事に答える。
目を向けた彼女の顔は、
先程の出来事で何かを察したらしく、
思い詰めたような、
怯えているような、
そんな表情をしていた。
「圭、怒ってるのかな」
「何に対してだよ」
「・・・分かんない。
でも、圭が其処に居るはずなのに、
其処に居るのは圭じゃなかったみたいで。
今まで・・・両親が死ぬ前も、死んだ後も、圭に話さなかった事なんて無かったのに。
だから、なのかなぁ・・・?」
「・・・・・・彼奴と俺は初対面で、彼奴がどういった考えの持ち主なのか知らねぇけど・・・今まで、何よりも大切にしていた物が他の誰か奪われたとか思ってンじゃねぇの?」
コップの中で揺らめく、白色の飲み物を眺めながら、彼奴が悩んでいることを言ってやる。
だがちなみは、彼奴が"何を"大切にしているだとか、
"何を"奪われたとか、
全く理解してないのだろうけど、
「お前はそのまま、彼奴がどういう出方して来るのか待ってみたらいいんじゃねぇの?
ぁ、でも唯待ってるだけじゃなくて、お前が必要としなくちゃいけねぇな。
お前にとってあいつは、友達以上の存在なんだろう?」
「・・・うん、圭は、大事・・・。
"友達"や"親友"で何て枠じゃ、収まらないくらい・・・大切な、存在」
「だったら、何時も通りにしてろよ。
何か言われたって、お前なら大丈夫だろ?」
自信たっぷりに、笑んでやれば
目の前にはもう、笑っている少女しか居なかった。