神様に見捨てられた世界で生きる僕ら
「あれ・・・牛乳ない」
入浴後の牛乳は、毎日の日課だ。
だが今日は朝飲んだせいか、牛乳がコップの半分で切れてしまった。
むぅと、自然に上げてしまう唸り声に溜息を零しながら、コップの中で揺れている牛乳を飲み干す。
「髪、渇かしてから行くしかないかぁ・・・」
一息吐き、口許を拭いながら髪を乾かすために肩に掛けてあるタオルで髪を拭く。
圭には、夜中に出歩くなって言われてたけど・・・走っていけば問題ないだろう。
家から一番近いコンビニは、走れば3分足らずで着く距離だ。
「もし見つかったら、謝れば問題もないだろうし」
そうと決まれば善は急げ、というようにあたしは大半は渇いてしまった髪からタオルを退け、革張りのソファに放る。
電気を消して、家の鍵を持って、財布を持って。
最後に用心の為にリビングの窓を閉めて、玄関に足を運ぶ。
「牛乳の他に、プリンでも買おう」
この前のプリンは、圭が遊びに来たときに食べてしまったし。
そう思いながらドアノブに手を掛け、独特の暑さの中に足を勧める。
相変わらず庭で鳴いている虫の羽音に耳を傾けつつも、足はコンビニへと向ける。
「23時、少し前か・・・明日が休みで良かった」
そう思いながら、柵に手を掛けた。
牛乳なんて、次の日でも良かったんだよ。
だけど、
もしこの時、行っていなければ
あたしは、千夜と出逢うことがなかったんだよね