神様に見捨てられた世界で生きる僕ら

家に着くなり、千夜は腹が減ったから何か作れと駄々をこね始めた。


「ねぇ、千夜は何処に住んでるの」

「ひーみつっ」

「・・・作らなくても良い?」

「ンな!?・・・じゃー上で」

「上?」

「そ。すっげぇ高いところに住んでたんだぜ!!」


冷蔵庫の中を開けて、中身をチェックしながら簡単に出来る物を考える。


「千夜好き嫌いあるー?」

「無い!」

「じゃー炒飯で良い?」

「ちなみの料理なら、何だって良いぜ!!」


あたしはその言葉に返事を返して材料を冷蔵庫から取り出した。


最初に出逢ったときからは想像も出来ないくらい、明るく柔らかい笑顔を向けてきた。

その笑顔は、何処か圭に似た雰囲気を思わせるが。

矢張り二人は赤の他人で、明るく、笑った顔が似ているというだけで、他の接点は見つからない。


「なーちなみぃー」

「何?」

「俺今日から何処に寝ればいー?」

「・・・・・・父さんと母さんの部屋のベッド。それか・・・そこ」


野菜をフライパンで炒めた儘視線を動かさず、木べらで千夜の座っているソファを指す。

すると直ぐに千夜から叫び声が上がり、首を左右に激しく振り出した。


「ソファは勘弁してくれよ!次の日筋肉痛になっちまうよ!?」

「じゃあ父さん達の部屋ね。・・・出来たよー」

「そういや、ちなみの親父さん達は?旅行か?」


コトリ、

千夜が食卓テーブルに着くのを見て、皿に盛った炒飯を彼の前に置く。


「亡くなったよ、あたしが中学3年の時に。
・・・丁度、今ぐらいの季節だったかな」

「・・・・・・わり」

「大丈夫。もうすぐ二年だし・・・慣れたから」

「・・・なぁ、寂しくねぇの?」

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