Distance of LOVE☆
それから少し経って、もう一度演奏を始めた皆。


終えると、なんだか腑に落ちない表情をしている悠月。

やがて、クラリネットパートの人だけ、ソロ部分を演奏をさせる。


「やっぱり。
手入れが不十分だよ。
もっと厚みのある音が出るはずなんだけど。」


彼女は、丁寧にクラリネットの手入れの仕方を教えた。


今度は、僕が腑に落ちない表情をする番だった。


あれ?
…悠月がなんで…そんなこと知ってるの?


「あれ?和に、言ったことなかったっけ?
私、中学と高校の6年間、吹奏楽部だったんだよ?
クラリネットパート。」


いや、マジで?

僕…知らなかったんだけど…


僕、一応悠月の夫…のはず…なんだけどな…


「ごめんね?
言ってなくて。
でも私は…これくらいしか、役に立てないから。」


ありがとう、悠月。


念のために、原曲を聴いてクラリネットパートの音を取ってやる。


原曲を聴き終わって思ったこと。

この人たちの演奏…吹奏楽用にアレンジしてあるのか?
曲調が1番と2番で違っている。


「麻美先生?
これ…吹奏楽用にアレンジしてあるんですか?」


僕の言葉に、頷く先生。


「そういうことか。
私の知っている曲と違う感じがしたから。
だけどね?アレンジを変えるなら、もっと大胆に変えなきゃダメよ。
今のは…1番と2番でなるべく聞こえかたが変わらないようにしてある。
それじゃ、審査員の印象に残らないわ。」


さすが、悠月。

本人は全く気付いていないようだけど、絶対音感持っているだけあるな。


麻美先生からも、曲をアレンジする許可を貰った。

生徒たちは休憩時させて悠月と2人で個室にこもって、編曲作業に取り掛かった。
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