Distance of LOVE☆
「気持ちは分かるけど、君が焦っちゃダメだよ?
余計悪循環だから。
彼女さんの心の準備が出来るまで、待ってあげること。」


「はい!!」


「で、あともう1つ。
やることはちゃんとやれよ?」


「わかってます!!
大事な彼女だし…大切にしてあげたいですから。」


その意気だよ。
心の中で言いながら、何度も頷く。


「ところで…和之さん?
悠月さんとは…どんな感じだったんですか?」


「ん~?
ゆづはね、意外に甘えてくるんだよね。
特に、そういうときは。
その割に、いつも早いし。」


「和っ!!
麻美先生が捜してたよ?
って…何話してたの!?」


「別に?
ただの恋愛話。」


「もうっ…///」


多分、さっき書き換えた楽譜のコピーを終えたんだろう。


「悠月さん、意外に可愛いところ…あるんですね。」


僕が相談に乗ってあげた男子生徒が、悠月にそんなことを言っていた。


「それ言うなっ!!
もう…
ちょっと楽譜のコピー貰ってくるから、個人練習してろ?」


それだけ言うと、僕は懐かしの職員室に向かった。


そういえば、悠月は何話していたんだろ…


職員室に向かう階段で、麻美先生とすれ違った。

結局、2人で音楽室に戻った。


個人練習を終えたであろう人たちも集まって、もう一度演奏を披露してもらった。


楽譜の通り、忠実に演奏が出来ている。
僕たちが編曲した箇所も、バッチリだ。


「どう?ゆづ。
改めて聴いてみて。」


「うん…アレンジ前より…逆に荘厳な雰囲気が引き立ってるね!」


当たり前だ。

それが引き立つよう…わざと長調にアレンジしたんだから。


「今日の練習は以上です!!皆、お疲れさまでした。」

「悠月さん。
今度は、子供さん連れて、また来てくださいね?」


「ってか、無事に産まれたら報告ください!!」


そんなことを言う生徒たち1人1人に、笑顔を向けながら音楽室を後にした。
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