Distance of LOVE☆
そんなこんなで2次会までやった僕たちは、知り合いのタクシー運転手に頼んで、皆まとめて家まで送ってもらった。


「ただいま…」


家に入って、そう、1人で呟いてみる。

ゆづも悠香も病院にいるから、こう言っても、「おかえり」なんて言ってこないことは分かってる。

だけど…それにしても…寂しかった。

ゆづは毎日、こんな思い、してたんだな…
僕がウィーンにいる間。


「ごめん…ゆづ…」


何だよ、ゆづにあんな、カッコイイこと言っておいてさ。
一番寂しいの、実は僕だったんだな。

なんでゆづ…いつの間にあんな大人になったんだよ…

そんなとき…僕の携帯が鳴った。


アルプスさんからの着信だ。


『…和。
産まれたんだって?
エンジェルちゃんの子。
女の子だってね?』


「ああ…うん。」


『お前が父親とかウケるわ!!
って…何でお前がそんな深刻そうにしてんだよ、もっと喜べって!』


「いや、あの…ちょっと…ね。」


『寂しいんだろ?
体調が安定するまで、退院出来ないからな~。
オレもそうだったわ。
1人って…こんな寂しいのかって思ったよ。』


『ま、明日になったらウィーンでもこのニュースで持ちきりだろ。
その映像、録画してエアメールで送ってやろうか?』

「いや、いいよ。
ありがた迷惑。」


『そ…そうか…』


でもなんか…アルプスさんのおかげで、気持ちが紛れた気がする。


「アルプスさん。
ありがとう。いろいろ。」

それだけを言って、戸惑うアルプスさんをよそに電話を切った。


ふう。
なんか…さっきまでとは違って、いい夢が見れる気がする。


そのままソファーに寝転がりながら眠ってしまった。
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