Distance of LOVE☆
その日の夜20時。

ようやく残業を終えた僕は、悠月に”今から帰る”という趣旨のメールを送ってから車を発進させた。


「あれ?
和。
ごめんっ………
メール今気付いたんだよね…………」


「いや、僕のほうこそごめん。
遅くなること、言ってなかったし。」


いつもよりかなり遅めの夕食を食べる。

やっぱいつ食べても悠月のご飯は美味いな。


と同時に、悠月に対する罪悪感があった。


谷村さんのこと、悠月に言うべきかな……


言おう。

隠し事はよくないよな。
夫婦だし。

2階から降りてきたゆづに、話があると声を掛ける。


「和?話って何?
浮気は許さないからね?
今日、何か有名声優の谷村 美月さんとカフェで話してたみたいだったけど。」


「何?まさか………知ってたの?」


「たまたま検診に行くときにそのカフェの前、通ったの。」


「そう……なら話早いな。
浮気とかじゃないから安心しな?」


一呼吸おいて、ゆづに理由を全て話した。


「なるほど………ね。
その裏サイトを何とかするために頑張ってたんだ?」

その頃ちょうど、問題の裏サイトが立ち上がったところだった。


「何か………大学の頃の私みたいね。
ネットで被害受けたの。」


そう言いながら、何気なく彼女はサイトを覗き込んだ。


その瞬間。


「うそ………」


ゆづの口から、そんな声が漏れ聞こえた。


「ゆづ?
どうしたの?」


彼女の目線はまっすぐ、画面上の”柳下先輩”
という字に向けられている。


「先輩がどうかしたの?」


「柳下 祐希………!
あの、ハミュセコーポレーションのっ……!」


名前には、聞き覚えがあった。

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