Distance of LOVE☆
「こ…この裏サイト…祐希が作ったの?」


「分からない。
それも調べてみる。
ネットの世界って…なりすましが多いからね。
誰かが柳下 祐希の名を語っている可能性もあるし。だから、今度は僕がそれを逆手に取るんだ。」


そう言って、僕はその裏サイトに入り込み、管理人の名を語って情報を手に入れる。


悠月は、携帯片手に誰かと話をしている。


「えっ…?
柳下 祐希が…!?
分かったっ。
ありがとうね、春香。」


「春香から全部聞いた。
春香が勤めるゲーム会社…ハミュセコーポレーションに吸収合併されちゃうんだってっ…」


「なるほどね…そういうことか。」


前に悠月の会社に来たのも、春香さんや谷村さんの会社に行ったのも…これで納得がいく。


「ハミュセコーポレーションは、今、通信講座で業績を伸ばしてる。
その会社がゲーム会社と提携して学習ソフトを作ったら?
コストもかからないし、利益は上がるしで…メリットだらけだ。
あわよくば…ウチの会社もヤバイな…
このままだと、買収されるかも。
経営状況もいいほうじゃないし…
プロデューサーさんがいない今、
責任者誰なんだっ…?」


プロデューサーさん…確か1週間の出張だよね?


「責任者…和みたいよ?
私が産休に入る前、プロデューサーさんが職員会議でそんなこと話してたの…」

思いがけない、悠月の言葉に、しばらく放心する。

責任者…僕…なの?


悠香が泣いている大声さえも、聞こえなかった。





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