Distance of LOVE☆
どうすりゃいいんだよっ…
僕…何にも出来ないよ?

経営とか…株のこと…全く知らないしっ…


「もしもし…春香?
どうしたの?
え…?分かったっ…すぐ行くっ…!」


ゆづの焦った口調が聞こえた。


「どうしたの?」


「ん?
春香の会社に今、経営に詳しい人が来てるんだって!某動物病院のオーナーで、巨大財閥の次期当主みたい。
その人が、私たちに用があるんだって!
早く行くよ!」


そう言ったきり、ゆづは悠香を抱き上げて部屋に飛び込んだ。


しばらくして部屋から出てきたゆづは、白ケーブルニットに赤いプリーツスカート、グレーニーハイで現れた。
首には緑と青のスカーフを巻いている。


「さ、行くわよ?
谷村 美月さんも早く!」


僕はあまり乗り気ではなかった。
だけど…会って良かったって…すぐ思うようになるんだ。

僕が前に行った春香さんの会社まで車を走らせた。
寝ている悠香を起こさない程度のスピードを出すように心がけながら。


「会社に着くと、春香さんともう1人、男の人が。」


「臨っ…
あ、後藤 臨よ。
私の再従兄弟。
ヘタレだけど、よろしくね?」


「美月、ヘタレは余計だ。」

「悠月、久しぶりね。
あ、無事…産まれたのね。貴女に似て可愛いじゃない。
また今度ゆっくり抱かせてね?
さ、早く付いてきて。
こっちよ。」


急ぎ足の春香さんに付いていく。


「遅いわよ。
悠長に世間話している場合かしら?
こうしている間にも、相手は買収の準備を進めているかもしれないのよ?まったくっ…」


「彩お嬢様…
それはさすがに、言い過ぎでは…?」


「うるさいわね、いいでしょ?コレくらい。」


そこにいたのは、サーモンピンクのブラウスにツイードスカート、グレーニーハイにピンヒールの青いパンプスという格好にそぐわない、強気な口調の女性と燕尾服の男性だった。



< 131 / 167 >

この作品をシェア

pagetop