Distance of LOVE☆
「あの…貴女は…?」


「はあ。
宝月の名字も知らないバカがこの世にいたなんてね。聞いて呆れるわ。」


「彩お嬢様…口が過ぎるかと…」


執事とか連れて偉そうにしてるところを見ると…
社長令嬢、ってヤツ?


「へえ…
宝月の社長令嬢さんが、助けてくれるワケ?」


「私はね…パパやママと違って刑事とか…嫌いだから経営の道に進んだの。
だから…こっちにおいてはプロよ?」


なるほどね。

宝月…

宝月蓮太郎って名前なら、聞いたことあるな。

FBIの仕事とアイドル業を両立させている、って。


「宝月 蓮太郎って名前なら知ってるけど?
まさか、その人の娘?」


「私が娘で悪いのかしら。 ところで…アンタなの?
PEGA社の責任者。
プロデューサーとやらが出張の間、会社は任せるとかなんとかって言われているの?」


「はい。
それは大丈夫です!!
和之が責任者ですから。」

そう言って、悠月が一枚の紙を差し出した。


悠月自身が署名したものだ。
どうやら、僕が責任者であることは、すでに皆に知られていたらしい。
必要なときまで僕が一切知ることが出来ないよう、箝口令まで敷かれていたのだ。


「ふーん。
まあ、いいわ。
ところで、アンタは?この責任者とはどういう関係なのかしら?
…ああ、そういうことね。」


その女は、僕と悠月の薬指に光る指輪を一目見て、薄く笑った。


「じゃ、行くわよ。
会社の統合について話し合うの。
早急よ!」


会社の内部をよく知る悠月を先頭に、会議室へと向かう。


宝月 彩とかいう女が角を曲がったのを見計らい、肩を掴んだ。


「社長令嬢だかなんだか知らないけどさ?
アンタって呼ぶの止めろよ。
僕は別にいいですけどね?悠月だけは…ちゃんと呼んでやれよ。
今度悠月をアンタって呼んだら…分かってるよな?」

「顔。
近すぎよ。
一応、鑑識なんだからね?またやったら…こっちこそ逮捕してやるわ。」


そう言った宝月 彩は、速足で会議室に入って行った。


あの様子じゃ…
男との付き合い…あまりないんですね?
あのご令嬢。(クスッ
< 132 / 167 >

この作品をシェア

pagetop