Distance of LOVE☆
「お嬢様。
大丈夫でございますか?
先ほどは…あの男に何を?」


「相当のバカね。
アイツ。
危険よ。ああいう男は。
特に、自分の娘と妻に関しては、見境なくなるみたい。」


そんな会話が聞こえた。

ダメだ、こりゃ…


それから10分ほどして、会議がスタートした。


どうやら、買収防衛策を話し合っているみたいだけど…全然頭に入ってこないし。

さっき…やりこめすぎたかな…
何より、悠月に怪しまれていないかが心配だった。


「何をボーッとしてるのよ、三ノ宮 和之っ!
自分の会社のことじゃない!
ちゃんと聞きなさいな。」


突然、宝月 彩の鋭い声が聞こえてきた。


「ふふ。
さっきまで"アンタ"だったのが、フルネームになっているから、ビックリしている…
おそらく、そんなところね。」


「あのね、春香の会社に買収提案するの。
こーいうのを、専門用語でホワイト・ナイトっていうらしいよ?」


「惜しいわ、悠月さん。
今回は買収提案ではなく…統合提案よ。
合併は、複数の企業が1つの企業になるのだけれど…統合は、複数の企業が1つの会社の傘下に入るの。
つまり、和之さんの会社と春香さんの父が経営してる会社はそれぞれ存続するっていうワケ。」


なるほど…


「だけど…これじゃ………独占企業になってしまうわ。
独占禁止法でトラストは禁止されているから………」


「待って、彩さん。
パパ…統合するなら音楽開発業の技術力を分けてほしいって言ってたわ。
代わりに…雑誌製作技術力の面で協力するって………」


ワケの分からない話が続く。


「つまり、和之さんの会社で優れているのは音楽開発、春香さんの会社はゲーム情報誌製作技術。
特定の分野のみで統合するなら、トラストとはみなされないわっ…………!」





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