Distance of LOVE☆
「その手があったわね。
さすが、だてに社長の娘やってないわね…」


「お嬢様。
仮にも、お嬢様も社長令嬢でございますが…」


「黙ってなさい、矢吹。
とにかく…この線でいくわよ。
そうすれば、買収されずに済む。
どう?悪い話じゃないでしょ?
和之さん。」


「……でも…勝手に統合なんて…」


「いちいちうるさいの。
この会社が買収されたら、貴方の上司にも…経営権はなくなるのよ?
自分の好きな会社で、自分のやりたいことをやる。
それが貴方にとってもいいんじゃないの?」


「…分かったよ。
統合…せざるを得ないみたいだ。
責任は僕が負う。
いいよね?悠月。」


「ええ。
和が決めたことですもの。文句は言わないわ。」


「ふふ。ありがとう。
それでこそ、僕が選んだ子だよ。」


「見ててイライラするのよ。
一気に室温が5℃くらい上がったわ。
さっさと書類にサインすることね。」


何?
こんなのでもダメなの?
相当だな、このお嬢様…


さっきからお嬢様の斜め後ろに付き従っている男に言ってみる。


「ダメじゃない?
あんなんじゃ。
貴方…お嬢様の執事でしょ?
テーブルマナーやら社交界の礼儀以外にも…さ。
貴方も健全な男なら…教えるべきこと、あるんじゃないの?」


「いえ。
それは、執事としてご法度ですので…
申し訳ございません。
お嬢様、ツンデレな上に純粋という難しい性格でして…」


そう言って、ホテルの支配人ばりに丁寧に頭を下げる。


「和っ!!
何言ってるのよっ…
すみません…この人…ドSなんでっ…
人をイジるの、趣味みたいなもんなんです。
よーく注意しておきますから。」


悠月…

今そんなこと言ってる場合かよ。

しかも、全然フォローになってないし。
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