Distance of LOVE☆
「ゆづも…そんなこと言うなら…お仕置きね?」


「えっ…!」


「相変わらず、純粋なヤツ。
家帰ったら…ね?」


「大丈夫でございますよ。 彩お嬢様のほうが遥かに純粋でございますから。」


「矢吹っ!!
何言ってるのよっ!!」


まあ…さっきの会話だけで顔赤くしてたからね?
貴方のとこのお嬢様。


「ところで…和之さま?
何か…お調べになっていらっしゃるのですか?」


何で…そんなこと?


「そういえば、美月までどうした?」


「臨、それは……」


「あ…ああ。
仲いいけど、姉妹でも恋人でもないからな?美月は俺のはとこってだけ。」


「そうだったのか…」


「失礼ながら、美月さまは今回の会社統合には全く関係のない人物…
その令嬢をここまで連れて来たところを見ると…何か和之さま、悠月さま、そして美月さまの間で込み入ったお話があるのではないかとお見受け致しました。」


矢吹さんは一呼吸置いて続けた。


「差し支えなければ、私にお聞かせくださいませんか?」


「パソコン使う話なら、矢吹に頼めば間違いないわよ。
何せ貴方、アメリカの国防総省に勤めていたんだもの。ね?」


「彩お嬢様…
確かに事実でございますが…見ず知らずの他人にそのようなことを口走るのはお止めくださいませ。」


「どうしてかしら?矢吹。 春香さんも後藤さんも、悠月さんも和之さんも。
もう見ず知らずの他人ではなく、友達なのではなくて?その彼らが悩みを抱えてるのよ?
話くらい、聞いてあげるのがスジなんじゃないかしら。」


「お嬢様が…そこまでおっしゃるのでしたら。
ご無礼な物言い、謹んでお詫び申し上げます。」


これでもかというほど頭を深く下げた矢吹さん。
その様子に、目の前で大企業のトップの謝罪会見でも聞かされているような気持ちになった。


「矢吹さんが気にすることでもないと思いますよ。
詳しく話しますので…良かったら…聞いていただけませんか?」


応接室に行くというお嬢様と春香たち。
僕たちは会議室で、ゆづや美月さんと共に、矢吹さんに全てを話した。




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