Distance of LOVE☆
「さようでございますか…裏サイトの開設者を暴きたい、ということでございますね?」


「は…はい。」


「でしたら、お安い御用でございます。
そのサイト、ハッキングさせていただきますね?」


「ハ…ハッキング?」


僕たちは、その言葉に開いた口が塞がらなかった。


ハッキングなんて…いいのか?


「お任せを。
お嬢様方。」

そう言うなり、パソコンのキーボードを驚異的な速さで操作しだした矢吹さん。

それから、30分も経たない間に、結果を告げた。


「お嬢様方。
この裏サイトをハッキング致しましたところ、これを立ち上げたのは、天野 絵理という女性であることがわかりました。」


「天野 絵理…」


「ご存知なのですか…」


「知ってるも何も、柳下祐希の彼女だった美人さんだもん。」


「そ…そうなの?」


「書きこみには、今でも美月さまの悪口が書きこまれていた形跡がございました。」


矢吹さんは、書きこみがあったって過去形で言っていた。

何でだろう…


「その書きこみが、何者かによって削除されておりまして。
書きこみを削除した方が、柳下 祐希さまでございました。」


はあ!?
ど、どういうこと?


「おそらく、密かに、柳下さまは美月さまのことに好意を寄せていたのでございましょう。
だから、柳下さまは、あなたの悪口を未だに掲示板に書き込んでいらっしゃる天野さまを、許せずにいた。過去にも何度も、書きこみが削除されていた形跡がありましたので、それも全て柳下さまによるものである。と推測されます。」


「祐希…
ごめんね…
あの時…仕事帰りにすれ違った時に、無視しちゃって、ごめんね?」


美月さんが、そう言ったときだった。


「…矢吹!
至急、リムジン…いいえ、南に連絡して、ドクターヘリを回しなさい!」


「何があったのでございますか?彩お嬢様。」


「レストランで傷害事件よ。
女が包丁を振り回して、男1人が重傷。
男のパソコンから身元が割れたわ。
柳下 祐希よ。」


「祐希が!?」


「おそらく、痴話喧嘩でございましょう。
先程調べさせていただきましたが、天野 絵理と柳下さまは、婚約の約束をさせられていたそうでございます。柳下さまのほうから、破談にする予定だったそうですが。」


「…ふふ。
女って、怖いわね。
とにかく、急ぐわよ?」


すでに到着していた、ドクターヘリに乗り込んだ。


「悠月さま、お忘れ物でございますよ?」


悠月は、執事さんから悠香を受け取っていた。


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