Distance of LOVE☆

秘めた想い

美月さん、大丈夫かな…
まあ…彼女なら、大丈夫だろう。
結構世話好きだし。

声優より看護師辺りが天職なんじゃない?
ってくらい。


「あのさ…矢吹さん。」


矢吹さんの、彩お嬢様だっけ?に対する態度を見ていて、思ったことを素直に言ってみる。


「好き…でしょ?
彩さんのこと。」


気を遣って耳元で言ったのに、あからさまに顔を赤くする矢吹さん。
図星だな。


「安心してよ。
僕は、好きとかじゃないから。
彩さんのツンデレっぷりはイジりがいがあるってだけだし。
悠月しか好きになれないからね~。」


僕はそう言いながら、矢吹さんの前であるにも関わらず、悠月の肩を抱いた。


「羨ましいですよ。
堂々とイチャイチャできるお2人が。」


矢吹さんが、寂しそうに薄く笑った。
その目は、僕を通り越して遥か遠くを見つめているようにも見えた。


好きなんでしょ?


だったら、告白して…自分の想いをお嬢様に伝えればいいんじゃないの?


何だよ…自分は好きになっちゃいけない、みたいな言い方は…


「私は…所詮彩お嬢様に仕える執事。
旦那さま…つまりはお嬢様の父親に雇ってもらっているだけの使用人なのでございますよ。
私と彩お嬢様は、決して結ばれてはいけない関係でございますので。」


そう言い切る矢吹さん。


一旦間を置いて、矢吹さんが続ける。


「毎日彩お嬢様に何かしらの小言を言われる私でございますので…
彩お嬢様が私に対してそのような感情を持っているとは到底思えないのでございます。」


え?

ホントに?


「矢吹っ!!
何そんなトコで話してるのよこのバカッ!
天野 絵美をパトカーに乗せるの、手伝いなさいよっ!!」


わざとかと思うほど絶妙なタイミングで、お嬢様からの指示が飛んだ。


ホントみたいだな…
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