Distance of LOVE☆
「ふふ。
ありがとう。
…んじゃ、また、ウィーンで。」
僕がアルプスさんからの電話を切った直後、ひょこりと洗面所から顔を覗かせた悠月。
「どうした?
も、下行くよ?」
「うん。」
僕がそう言うと、笑顔を見せて背中にいそいそと付いてくる。
だけど。
「和っ…
歩くの…速いっ…」
ヤバ…
僕、歩くの速かった?
普通に歩いていたつもりだったんだけど…
「ごめんね?
ゆづ。
ちゃんと悠月に合わせるからさ。」
「ありがとう。」
そう言って…僕に再び笑顔を見せる。
だから…気付かなかった。
悠月が時折、ダルそうに顔をしかめることも、
身体を無理矢理引きずるようにして歩いていたことも。
何で僕は、気付いてあげられなかったんだろう。
気付いていたならば…
君は…
いろいろなことに悩まずに済んだのかな?
君をあんな目に遭わさずに、済んだのかな―?
三ノ宮和之side〈終〉
NEXT…〈三ノ宮 悠月side〉
ありがとう。
…んじゃ、また、ウィーンで。」
僕がアルプスさんからの電話を切った直後、ひょこりと洗面所から顔を覗かせた悠月。
「どうした?
も、下行くよ?」
「うん。」
僕がそう言うと、笑顔を見せて背中にいそいそと付いてくる。
だけど。
「和っ…
歩くの…速いっ…」
ヤバ…
僕、歩くの速かった?
普通に歩いていたつもりだったんだけど…
「ごめんね?
ゆづ。
ちゃんと悠月に合わせるからさ。」
「ありがとう。」
そう言って…僕に再び笑顔を見せる。
だから…気付かなかった。
悠月が時折、ダルそうに顔をしかめることも、
身体を無理矢理引きずるようにして歩いていたことも。
何で僕は、気付いてあげられなかったんだろう。
気付いていたならば…
君は…
いろいろなことに悩まずに済んだのかな?
君をあんな目に遭わさずに、済んだのかな―?
三ノ宮和之side〈終〉
NEXT…〈三ノ宮 悠月side〉