Distance of LOVE☆
「あ…相沢さん。」


「彩さま…大丈夫なのでございますか?矢吹さんは…」


「心配は要りません。
気を失っているだけでございましょう。」


高沢さんの言葉に、一同が胸を撫で下ろした瞬間だった。


「何よもう…
矢吹まで、藤原みたいに失うのかと思ったわ。」


「ね。素直になんなよ?」


気の強いお嬢様に、そう言ってみた。


「貴方…誰に向かって口聞いてるのかしら。
私の助けがなかったら、貴方が勤める会社も買収されていたのよ?
ちょっとは感謝しなさいな。」


「そのことに関してはお礼を言うよ。
ありがとうございます。
だけど、それとこれとは話が違うしね?」


「悪いのかしら?
執事として以上に矢吹を頼りにしちゃいけないなんて法律では決まっていないわよ?」


「だから、それが"好き"ってことなんじゃないの?」

「好き?私が?矢吹を?
…ありえないわ。
一緒にいて気が楽ってだけよ!!」


「じゃあ…あれは演技だったの?
さっき矢吹さんに向かって死んじゃ嫌だとか言いながら泣き叫んでたの。
知ってるよ?オレ。
あれ…本心でしょ?
好きじゃなかったら、今みたいにずっと側にいるなんてこと、ないだろうしね。」


「好きで悪いのかしら。」


「仕方ないでしょ?主従関係があるんだし。
好きなんて言っちゃいけないのよ。
矢吹の前でだけはね。」


「姉さん…」


「私はね、麗眞みたいに学生時代の同級生と気楽に結婚できるワケじゃないんだからっ!!
相手を選べるだけ、いいと思いなさい!!」


何か…あるの?

あのお嬢様…


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