Distance of LOVE☆
意外に、凛とした表情でそう言った矢吹。


不覚にも、カッコイイとか、思ってしまった。


私、どうかしてる。

矢吹に、こんなこと思うなんて。



「約束しなさい、矢吹 涼。
もう二度と、こんな危ないことしないって。
貴方がまた、藤原みたいな目に遭うのはごめんだわ。」


あれ?


普段の私なら、こんなこと、絶対に言わない。



「ふふ。可愛らしいお方だ、宝月 彩お嬢様は。
お望みのままに。約束しましょう、お嬢様。
ただし、お嬢様が危険な目に遭いそうなときのみ、例外ですがね。」



「はいはい。もう、それでいいわよ。」



「お休みくださいませ、彩お嬢様。お疲れでしょう。貴女まで体調を崩されたら、元も子もありませんので。」



「………嫌よ。
矢吹。貴方が傍にいるというのなら、構わないけれど?」




なぜか、突然、言いようもないくらいの寂しさに襲われた。
だからなのかもしれない。

いつもは絶対言わないような甘えのセリフが出てきたのは。



「仰せの通りに致しましょう。
どうぞ?こちらでお休みください。」


彼が指し示したのは、自分の隣の空きスペース。


あの…

隣で寝ろと?



そりゃ、私の執事だから、変なマネはしないだろうけど。








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