Distance of LOVE☆
あまりの疲れに、ご飯を食べてしばらくしたら、熟睡してしまっていたようだ。



朝目覚めたら、隣にいる雅志の不安そうな、心配そうな視線があった。



「どうしたの?」



「ん?
それ、オレのセリフ。
奈留、なんかヒドイ夢でも見たの?
鏡見てみ?
頬に涙の痕ある。」



雅志の言う通り、頬にはくっきりと涙の痕があった。




確かに、昨日…というか今日の夢はヒドかった。




病院の手術で私がミスしたせいでワンちゃんが死んじゃって、病院から追い出され、
強制的に帰国させられて、院長さんからもオーナーからも見放され…雅志からも別れようって言われる夢だった。




「ちょっ…思い出させないで…!」


また、泣けてくるでしょ?




「泣かないでって。」




「…良かったら話して?」



今は、朝5時。

出勤まで2時間以上ある。



涙と鼻水と嗚咽で声をたびたび詰まらせながら、頑張って雅志に話した。


今日見た夢のこと。




やっと話し終えたときには、私の身体はすっぽり雅志の胸の中に収まっていた。



「え……」


「ツラかったな…
でも、大丈夫。
もし奈留がホントにそんなミスしても、オレは絶対奈留の味方だから。
別れようとか、言うワケないでしょ?」


「獣医だって人間だ。
機械じゃない。
ミスだってある。
それくらいは、奈留の今いる病院の人だって分かってるはずだよ。ね?
だから、そんな気にしないの。」



やっぱり、こういうときは、雅志は心強い。

上司としても、男の人としても。



「だから、今日の手術も頑張ろうな。」



なんか、元気出てきた!



「うん!」


< 161 / 167 >

この作品をシェア

pagetop