Distance of LOVE☆
そして、何も胃に入れないまま、朝を迎えた。


「悠月、僕行くけど、ホントに大丈夫?
夕べから何度もトイレに駆け込んでたけど。」


そう言って、優しく私を抱き締めてくれた。


「悠月?
無理だけはしないでね?
熱っぽいから。」


「うん。
だから、早退して、病院に行くの。」


「そっか。
ちゃんと結果教えてね?」

「分かってる。
じゃあ、行ってらっしゃい。」


軽くキスを交わして、和を見送る。


早退するなんて嘘。

ホントは…これから病院に行く。


産婦人科。


下腹部の痛みもなくて、久しぶりの安らかな眠りを邪魔するかのように、突然私を襲った吐き気。


やっとトイレから出て来られたときには、すでに夜中の3時で…
それからはまともに眠っていない。

水だけは口に入れるが、それさえも戻してしまう。

これはもう…誰がどうみてもつわりだ。


「やっと気付いた?
遅いよ?」


玄関から出てきた私を、車に乗せてくれたのはなぜかウィーンに行ったはずのアルプスさんで。


そのまま産婦人科まで連れて行ってくれた。


三咲産婦人科。



私だけが、診察室に呼ばれる。


「妊娠してますね。
おめでとうございます。」


そう言われた。


やっぱり…いたんだ。

大事な大事な、和との赤ちゃん。

嬉しいなー…

だけど…和がウィーンに発った今、私1人で…この状況に耐えなければいけない。

それを先生に告げたら、先生が全力でサポートしてくれるって言ってくれた。


< 20 / 167 >

この作品をシェア

pagetop