Distance of LOVE☆
ぎゅっと、和に抱きしめられた。


「心配しなくていいよ。
秋に一回だけクルーザーでのコンサートがあるからそれは出るけど、
先生からはTV電話を通じて指導受けるし。」


和…
わざわざ、私のために…?

「その相談をするために、一回ウィーンにいる教授のところに行ってたんだよね。
先生も妻子持ちだからよく分かってくれて。
『レッスンは休む扱いにしておくから、早く行ってあげなさい。』って言われてさ。
だから…これからは…僕がちゃんと側でサポートしていくから。
もう…自分を責めたり、死にたいなんて思う必要、ないからね?」


え…

和…知ってたの?


「ふふ。
大好きな人の心境の変化くらい、分かりますよ?
でもまあ、最初に勘づいたの、アルプスさんでしたけど。
女友達がカウンセラーの娘だから、その影響で少しは敏感みたいで。」


和には全部…バレてたんだね…


「一回、ウィーンに行って知ったんだけど…
もう、オーストリア全土で悠月…名前や写真は出てないけどね。
の妊娠のことが報道されててさ…
ビックリしたよ。」


「悠月ちゃん本人じゃなく、妊娠っぽい症状に気付いたの…俺なんだけどね。
パピーに迷惑かけたくないからって言うか言うまいか悩み苦しんでる悠月ちゃんを見ていられなくてさ。
和はもう…ウィーンではかなりの有名人だから、報道させれば、しばらくバイトには行けないだろうと思ってさ。
一度俺だけウィーンに戻って、遠距離レッスンと報道の旨を話しておいたの。」

アルプスさんが影で尽力してくれたおかげだったんだ…


「私と和のために…いろいろありがとうございます。」


「良かった。
俺はね、悠月ちゃんには笑っていてほしいだけだから。
和と幸せにね?

じゃあ、また何ヵ月後かにウィーンで会おうね、パピー。」


それだけ言って、アルプスさんは病室を出ていった。
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