Distance of LOVE☆
俺がやっとのことで病院に着いて、
朱音が頑張っているであろう、手術室の前に来たときだった。


オギャア…!


「……!!!」


赤ちゃんの産声と共に、赤く点灯していたランプが灰色になり、中から院長さんが出てきた。


「院長さんっ…
朱音は…?」


「問題ないわ。
母子共に健康よ。
…3200グラムの女の子。」


「ありがとうございます!」

「行ってあげなさい。
朱音さんも子供も、貴方に会えるの、楽しみにしてるわよ。」


院長さんに深く頭を下げて、朱音のいる手術室のほうに、真っ直ぐ歩いていく。

「朱音…」


「星哉…っ…ハアッ…」


「……よく、頑張ったな。 お疲れ様。
ごめんな?
立ち会ってやれなくて。」

「大丈夫よ…」


疲れきった表情をしながらも、
俺に笑顔を見せる朱音。


「女の子か…
可愛いな…///」


口元の辺りは…俺に似て唇が厚い。
目元は…朱音似だな。
綺麗な二重だし。


こんなこと言ったら…親バカって…思われるかな?


「あの…朱音…名前とか…決めてるの?」


「ん?
星哉、知ってる?
私の信条。

"成せば成る"。

だから……"奈留"。

…そうしようかと思ってるんだけど…
どうかな?」


「いいと思うよ。
…朱音がそう決めたのなら。
"三咲 奈留"。
…いい名前だね?」


「ありがとう。」


朱音がさっそく、奈留。
と名前を呼ぶと、
赤ちゃんが微かに笑った気がした。


「お、
今笑ったぞ?
おーい、パパだぞ~。」


「親バカ。」


小さな声で、朱音が何か言った気がしたから、聞き直してみたが、

何でもないよ?

という返答だった。
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